緩急講座(チェンジアップの有効な使い方)
緩急、それは現代野球においてなくてはならない存在となりました。特にストレートと同じ腕の振りから放たれるチェンジアップは、打者からすれば脅威、投手からすれば速球派軟投派問わず幅広い層が使っていける変化球です。
しかも肘や肩への負担は、他の変化球と比べればほとんどない何ともお得な変化球です。蓋野球においてもその有用性は例外ではありません。そこで今回は「チェンジアップの有効な使い方」と題しまして、簡易的ながら解説していきます。まず初めに変化の仕方を見ていきましょう。
投手差はあれども「直球と同じ腕の振りで放たれる→直球より20km/hほど遅い速度で沈む軌道」これが変化の概要となります。まずここから分かることは、直球なしにこの変化球は成立しないということです。直球でなくとも、それに準じた速度を持つ球があれば十分でしょう。
速球派軟投派問わずに使えるというのはそこにあります。直球に似た軌道で遅ければ、直球がいくら速かろうが遅かろうが、もちろんバッターにも依りますがタイミングは外せるのです。
これを踏まえた上で次は目玉である使い方を見ていきます。結論を言ってしまえば、
「チェンジアップは外角に投じる」これが基本です。これはどういうことかと言うと、例えば内角に投じてタイミングを完全にズラしているとしましょう。基本的には体を開かせれば勝ちと言われるほど凡打や空振りの確率は高くなるのですが、内角であれば、身体の開くパワーや骨盤の捻転、振り抜き安さ、それに遅い球ということも相まって当てる確率も飛ばされる確率も高くなります。それがフェアゾーンに留まってしまったらたまったもんじゃありません。そうならないためにも基本的には外角に投じましょう。外角に投じ、タイミングをズラして体を開かせれば打者からは届きません。きりきり舞いです。
更にこれを踏まえた上で、効果を最大化させる使い方を考察していきましょう。野村克也氏は「配球とはつまるところ『4つのペア』の組み合わせに集約できる。外角と内角、速いと遅い、ボールとストライク、逃げる球と食い込む球。この4要素を材料に、相手バッターを料理するのだ」という言葉を残しています。
個人的にはこれに高低の要素も加わってくると思うので、僭越ながらこの4つの要素に高低を加えて話を進めます。野村氏の言葉を見れば、全てが相対的に成り立っていることが分かります。相対的要素のごった煮で配球は決まるということでしょう。
「チェンジアップは外角に投じる」ことを前提に置き、その4つの要素(+高低)を基にチェンジアップの効果を最大化させる配球を考えるとするなら、「内角高めストレートから外角低めチェンジアップ」が一番効果的と考えます。内角高めでコースの圧迫感を誘い、外角低めのチェンジアップで遠さとタイミング外しを両立。理想の組み立てが出来たのではないでしょうか。更にここにストライクに入れるかボールにするかの要素を加味すると「内角高め直球見逃しストライク→同コース少し上に外して空振りを誘う直球→外角低めギリギリ入るチェンジアップ」が挙げられるでしょう。
例はあくまで理想論ですが、打者からすればそういった組み立てがあることこそ脅威でしょう。
チェンジアップは内角へ投げる危険性や、直球がなければただの遅球ではあります。が、タイミングをずらすなど投手が優位を得やすい変化球である利点を持った変化球としてこれからも使われていくことでしょう。
さて、ここまで駄文長文乱文を重ねてきましたが、言いたいことは伝わるように書いたつもりです。これを参考に蓋野球ライフを楽しんでもらえれば幸いです。次はもっとまとまった文章を書けるように精進します。ありがとうございました。 文 稲荷
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